「平均」初婚年齢は「普通の」結婚年齢でしょうか?
~正しい知識で迷走しないライフデザインを~
皆様は「平均」と聞いて何を思い浮かべますか?
大学生に聞いてみたところ、「普通は、って感じでしょうか」といった回答がありました。
実はこの考え方を結婚年齢に当てはめてしまうと、取り返しがつかないことになりかねません。
なぜでしょうか。
今回は結婚にまつわるデータの中でも特に誤解が多発している、平均初婚年齢について解説したいと思います。
福井県の平均初婚年齢は?
2024年の福井県の男性の平均初婚年齢は30.4歳、女性は28.9歳です。現在20代の皆さんの親世代の多くの方が結婚したであろう約30年前(1995年)のデータを確認すると、男性28.3歳、女性25.9歳ですから、男性は2歳、女性は3歳程度、平均初婚年齢が上昇しています。
数字だけみると、「結婚するなら30近くになったら相手探しをすればいいか」と勘違いしてしまう人も多そうな平均年齢です。しかし、平均年齢は高齢化にともなう「これまではあまり見られなかった高齢男女の初婚」によって大きく引きあげられてしまっているのが実情です。
ここに5人ずつの男女がいたとします。
女性:
Aさん 25歳、Bさん 26歳、Cさん 27歳、Dさん 27歳、Eさん 60歳
男性:
Oさん 27歳、Pさん 28歳、Qさん 25歳、Rさん 26歳、Sさん 65歳
ほとんどが20代男女ですが、1人ずつ60歳以上の方が含まれています。この2グループの平均年齢を計算してみると、女性33.0歳、男性34.2歳となります。
この2つのグループの「普通」は果たして33歳から34歳の男女といえるでしょうか?
違いますね。
「20代が普通だけれど、60歳以上の方が少し混じっている」がグループの正しい表現になります。
このような現象が結婚年齢でも発生しています。
福井県の男女が「普通に」29~30歳で結婚するとはとても言えない状況にあるのです。
福井県で最も結婚が多い年齢は?
福井県で最も初婚の結婚が多い年齢は、男女ともになんと27歳です。婚姻届の件数が多い順に男女別に10位までを分析した結果をみると、男性は27歳、28歳、25歳の順に、女性は27歳、25歳、28歳の順に初婚婚姻数ベスト3となりました。男性の平均初婚年齢30歳、女性の平均初婚年齢29歳、ともに6位でベスト5にも入っていません。
初婚同士カップルの婚姻届数が把握可能な全国データと異なり、都道府県別ではお相手の婚歴は関係なく、本人が初婚者かどうかで年齢集計されています。相手が再婚者の場合はお相手の年齢が初婚相手のお相手の場合よりもやや高くなる傾向があるので、再婚ではなく初婚ステータスのお相手を希望している方は、このランキング表よりも1歳程度若い年齢での成婚を目指して活動したほうがいいでしょう。
ちなみに、2024年の福井県の男性初婚者は1689人、女性は1723人となりました。「一夫一婦制なのに男女の数が合わないじゃないか!」と思う方もいるかもしれませんが、ご説明したように、本人が初婚であれば、お相手が再婚者でもカウントされています。つまり男性よりも女性のほうが再婚となるお相手に寛容な結果、初婚者数が多くなっているのです。福井県の若い男性は女性よりも多いために、ただでさえ数が余っているにもかかわらず「初婚の女性じゃないといやだ」というのであれば、さらに輪をかけて女性以上に結婚が難しくなることに留意が必要です。
平均初婚年齢+1歳でイエローカード
2024年の福井県の男性初婚者1689人、女性1723人のうち、29歳までの方の割合を計算すると、男性974人、女性1160人で、男性の58%、女性の67%が「20代まで婚」となります。想像以上に若い男女の占める割合が高いと感じるのではないでしょうか。
そこで、2024年に福井県で初婚を果たした男女の年齢分析結果から、結婚のための活動の難易度を考えてみたいと思います。初婚を果たした男性1689人、女性1723人のうち、最も若く結婚した方から数えて5割に到達する年齢ぐらいであれば、まだそんなにお相手探しが大変ではないといえるでしょう。しかし、その年齢までの男女が7割を超えてくる年齢となるとさすがに「なかなか相手が見つからない」「イイ人がいない」といった感覚を持つと思います。そして、8割を超えてしまう年齢ともなると「非常に難しい」「婚活疲れ」といった声が増えてくる状況につながりやすくなります。
さて、どのような結果となったでしょうか?
驚く方も多いかもしれませんが、福井県の平均初婚年齢の29歳~30歳+1歳で、統計的にみてお相手探しがそれなりに難しくなっていることがわかります。
高齢化による平均年齢への影響を確認してみると、福井県では男性46歳、女性43歳以降は各年齢において男女別に10人も成婚していませんが、その後もぽつんぽつんと平均を一気に引き上げる年齢の方の結婚が発生しており、男性では67歳、女性では57歳まで初婚者が発生しています。こういった統計的外れ値といえる成婚によって平均が引き上げられ、まるで結婚多発年齢が上昇したかのような錯覚を誘発しているのです。
20年前より男性は早婚化傾向まで
最後に晩婚化について考えてみたいと思います。平均初婚年齢の上昇をみて「晩婚化」という方がいるのですが、その方のイメージが「結婚多発年齢ゾーンが上昇した」であるならば間違いです。20年前の2004年の統計を分析すると、福井県の初婚年齢は以下のようになっています。
男女ともに最多年齢が27歳という2024年と比べると、女性は年齢が変わっていませんが、男性はなんと2歳も若返っているのです。さらに、若者減少で激減している2024年の婚姻件数が、それでも年齢別でみて100件を超えた年齢ゾーンをみてみると、男性は25~31歳、女性は24~29歳で多発期間の短期間化傾向がみられるものの山は動かず、といった状態です。
「花の命は短くて」という言葉を聞くと、女性の結婚年齢の話であるかのような勘違いをする方が多い親世代の人々には信じられないデータかもしれませんが、福井県の若者の皆さんは体感としていかがでしょうか。
「まだ若いのに」「まだ早いんじゃないの」といった誤解に基づく助言を気にすることなく、正しい知識に基づいて、結婚希望のある方はその希望を叶えて欲しいと願っています。
ニッセイ基礎研究所生活研究部
人口動態シニアリサーチャー
天野 馨南子(あまの・かなこ)氏
専門は少子化対策や東京一極集中、女性活躍推進など。 エビデンスに基づく分析や提言に取り組み、政府や地方自治体、経済団体の人口問題関連委員を多数務める。著書に「まちがいだらけの少子化対策」((一社)金融財政事情研究会)など。
